まず、はらわたを取り素焼きにした鮒を一匹、一匹丁寧に手作業で鍋に並べていきます。
次に砂糖と水だけで美味しくなれと願いながら約8時間コトコトと煮ていきます。時間をかけて煮ていくことで頭から尻尾まで(もちろん骨も)柔らかく煮あげることができます。
最後に醤油と水飴を加えて約2時間煮ると出来上がりです。煮上げる時は色、つやそして鍋から聴こえてくる音を頼りに100年以上前から続く伝統の技で仕上げていきます。
出来上がった鮒の甘露煮はさめないうちに一匹ずつ、これまた手作業で鍋から取り出してから、一晩冷ましてから箱詰めします。
鮒甘露煮の由来
古河名物 鮒甘露煮は、江戸時代の宝暦12年(1762年)土井大炊頭利里が、肥前唐津から七万石を以て祖先(藩祖 土井大炊頭利勝徳川幕府大老)の旧領地古河に移封された頃に始まります。
当時、古河は、奥州街道の要衝の宿場でにぎわい、今でもその形をとどめる船渡河岸というところより江戸へ唯一の交通機関の定期船が運行しており奥州よりはるばる江戸に上る旅人も古河に着けばもう江戸についたような安心感があったようです。
この頃、古河宿の街道筋に一膳飯屋があり、鮒の煮付けを始めました。これが鮒の甘露煮の始めと言い伝えられています。そして時は移り明治になって、野村家父祖がこれに煮付け味付けの改良が加えられ、現在の鮒甘露煮が完成しました。